白髪といえばあまりに有名な「ベルサイユのばら」の王妃マリー・アントワネットのエピソード。死刑判決を受けた恐怖のあまり見事なブロンドが一夜にして白髪になったという、アレです。実際には一晩ではなくて5日だとか、牢獄に幽閉された2か月間でとか、諸説あります。いずれにせよストレスが髪に与えるダメージは甚大です。
ストレスが原因かもしれない病気
ストレスがどうして?
ストレスによって代謝や血行が悪くなると頭皮の健康状態も維持できません。ことに亜鉛は育毛に不可欠なミネラルですが、ストレス時には体内で亜鉛が大量に消費されます。そのため育毛に必要な亜鉛が不足しがちになってしまいます。
髪の毛は女性の場合、約5年で成長期→退行期→休止期→脱毛のサイクル(毛周期)をくり返し、1日に約100本が自然に抜けています(季節によって増減あり)。ところがストレスで自律神経の働きが不安定になると、毛周期が乱れて、新しい髪の毛が生えてこないうちに抜け落ちてしまいます。これが抜け毛です。
ストレスの免疫系への影響はより深刻です。外部の刺激から自分を守る免疫システムが、ストレスがきっかけとなり、誤作動を始めることがあります。すると毛根になろうと成長中の毛母細胞や毛母細胞が集まる毛包を攻撃し、成長を止めてしまいます。過剰な抜け毛が起こり、生えてこない脱毛部が見られるのが脱毛症です。
ピックアップ疾患:抜毛症(癖)
罹りやすい人
症状
いずれも「困ったな」「イヤだな」「つまらないな」など不満や不安が起きたとき、タイプ①は無意識に髪を抜いており、タイプ②は「抜きたい」という衝動が起こります。家庭、学校、職場などいつでもどこでも抜毛行為に及びます。本人も周囲の人も異変に気づくのは、髪や体毛が生えてない部位(脱毛斑)ができたときでしょう。健康な髪の毛を抜くことで、皮膚が傷ついて炎症を起こすこともあります。
タイプ②は「抜きたい」衝動が湧き、抜いた直後は落ち着き、満たされてスッキリします。抜毛癖があることを「恥ずかしい」と強く思い、髪を伸ばしたり、帽子、メイク、装飾品、衣服で脱毛斑を隠します。また、「抜毛癖は人から理解されない」という孤独を味わっています。そのため、人間関係を途絶させる、仕事や勉強を辞めてしまう、医療機関への受診をやめる・嫌うなど、自分の殻に閉じこもり、ますます治療を困難にしてしまいがちです。
治療のタイミング ・抜毛をくり返している こうしたことで悩み苦しんでいる場合、抜毛症の疑いがあります。本人は治療への抵抗感が強いので、ご家族が本人の悩みや不安をまず「理解する」ことが大切です。そのうえで、心療内科への受診や心理カウンセリングによる心理療法(認知行動療法など)によって症状の改善努力をうながしましょう。
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