2007年度の 「 学校評価 保護者アンケート 」 には、
「 指導に関連した内容 」 の小カテゴリーの質問の中に、
「 前籍校や本校の学部間、また学年間の指導の継続に関し、 引き継ぎが適切に行われていると思いますか。」
という質問があり、小学部の保護者の反応は次のようなものだった。
「 小学部から中学部への引き継ぎが不十分だ。 」 という声が何件かあった。
子どもが小学部から中学部へとすでに進学した保護者ならば、 このように思うこともあるかもしれないが、 なぜ、小学部の保護者から、このような答えが返ってくるのか。
それは、簡単で、PTAの役員同士などで、情報が交換できているからである。 小学部から中学部へとすでに進学した保護者から、 まだ、小学部にいる保護者へと情報が伝わっているのである。
★なぜ、 「 小学部から中学部への引き継ぎが不十分だ。 」 と感じるのか? 次の (1)(2) と理由を考えてみた。
(1) 我が子の、 小学部6年生の卒業式と 中学部1年生の入学式をどうしても比較してしまう。
(わずか、20日の間に、卒業式と入学式を見るのである。 1年間子どものことをよく知っていて、指導してきた担任による卒業式と 初めて子どもと接する担任による入学式、 いくら、小学部6年生の担任から、中学部1年生の担任に引き継ぎが されていても、同じようには対応はできない。
ましてや、小学部から中学部へと進学した子どもは、ほんの一部に過ぎず、 地域の小学校から中学部に入学した子どもがほとんどなのだから。
中学部1年生の担任は、入学式の時は、はじめて出会う子どもばかりなのだ。
つまり、中学部1年生の最初の日、つまり入学式のがっかり感を、 小学部から中学部へと進学した保護者はずっと引きずっていくのだ。
(2) 小学部は、中学部、高等部とは違っている。
【1】 中学部、高等部の指導は粗い。
中学部、高等部は、「 1人でできる 」 ということが優先されるのか、
「 玄関から教室まで1人で行ける。」 「 1人でトイレに行って戻ってこれる。 」
ことを目指すのはとても良いことなのだが、 その中身は、どうでもいいように見えてしまうのだ。つまり指導が粗いのだ。
どういうことかというと、
「 玄関から教室まで1人で行ける。」 が、
「 廊下を走って移動する 」
子どもばかりでも、全然、指導しないのだ。
「 1人でトイレに行って戻ってこれる。 」 が、
「 ズボン、パンツを下げて、お尻を見せて オシッコをする。」 「 手洗いは、手をちょっと濡らすだけ。 」 「 ハンカチをもっていないので、服やズボンで手を拭く。」
であっても、全然、指導しないのだ。
【2】 中学部、高等部には、小学部にはない良いところがある。
それが、「 作業 」 と 「 45分間の国語・数学 」 、 毎日の 「 給食の配膳 」、 「 掃除 」 だ。
この小学部にはない教育課程の中で、
「 にげる・かくれる・サボる 」 の不適応行動が改善される子どもが 少なくないのである。
それは、なぜか?
この教育課程は、
横山浩之ドクター (山形大 看護学科教授) や 篁 一誠 氏 ( NPO法人PDDサポートセンター グリーンフォレスト理事長 ) が言う 「 毎日連続30分間のお手伝い 」 にきわめて近いからである。
この教育課程の中で、しっかりと指導できれば、 子どもは変わるはずである。
しかし、現実は、教員の教師力よりも、 子どもの実態のほうが難しいなどの理由で、 しっかりと指導ができずに、 「 重い行動障害が、高等部を卒業する時も、そのまま 」 ということも少なくない。
2009年度の 「 学校評価 保護者アンケート 」 は、
次の①がマークシートで回答してもらうもので、
①授業内容、保護者との連携、個別教育計画等について 次の②~⑤は、自由記述となった。
②良いと思われたこと、続けてほしいこと等について(自由記述)
> ①授業内容、保護者との連携、個別教育計画等について (マークシートで回答) の内容は、つぎのようなものだ。
≫ 「 前籍校や本校の学部間、また学年間の指導の継続に関し、 ≫ 引き継ぎが適切に行われていると思いますか。」
という質問は、もはや存在していない。
≫ 『学校運営や指導に関するアンケート』
≫ I 授業内容・保護者との連携 ≫ 1 普段から担任とよく情報交換でき、質問や意見を伝えやすいと思いますか。 ≫ 即して行われていると思いますか。 ≫ 連携されていると思いますか。 ≫ 合っていると思いますか。
≫ Ⅱ個別敬育計画・個別の支援計画 ≫ 1 個別教育計画の内容は保護者と担任との話し合いが反映されていると思いますか。 ≫ 支援シートを活用していると思いますか。 ≫ 共有していると思いますか。
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