以前、このブログでも紹介した 厚労省が運営する働く人のためのメンタルヘルス情報ポータル 「こころの耳」(http://kokoro.mhlw.go.jp/ )がリニューアル。 今回あらたに公開された52分の動画コンテンツ、 e‐ラーニングで学ぶ 「実践!メンタルヘルス対策の進め方」 http://kokoro.mhlw.go.jp/jigyosya/learning.html これが無料で視聴できるっていうのはいいですね。 会社で「何をどうしたらいいかわからない」とお困りの方、 「衛生委員会?何それ?うちにいるっけ?」とおとぼけの方、 「いるにはいるけど、やるやる詐欺状態じゃん」とお嘆きの方、 みなさんでご覧になってみてはいかがでしょう? ぶっちゃけコンサルタントにお金かけるよりいいです。 それは置いといて。 わたしのイチ押しは、やはり今回更新された シリーズ「生きる力」の山本文緒さんのインタビュー。 http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/interview/index.html 聞き手が残間里江子さんという豪華な人選もさすがは国家機関です。 昔、心理臨床を勉強しているとき山本文緒作品をよく読んだものです。 その前から読んでましたが、目的がちがいました。 わざと自分を打ちのめすために読むのです。 ですから、むちゃくちゃな読み方をします。 片っ端から読んでいくんです。不眠不休で72時間くらい。寝ないで。 あ、ごはんは食べてましたけど。 『プラナリア』 『恋愛中毒』 『群青の夜の羽毛布』 『眠れるラプンツェル』 『ブルーもしくはブルー』 『落花流水』 あたりが定番でした。 なんでこんなことをするかというと、 逆説的ですが、落ち込むためです。 それも、すみやかに、重く、深刻に、一気にドーンと。 心理学の勉強していると自分の内面を見つめさせられることが多く 「気づきたくない部分」を認めざるを得ない場面にたびたびぶちあたります。 ようは、 ひた隠しにしてた「イヤな自分」をほじくり出されて 首根っこを抑えつけられて顏のまん前に それをつきつけられるみたいな……ええ、もちろん非常にイヤな体験です。 で、当然ながら、凹むわけです。 ぐじぐじします。 幸い同じ経験している勉強仲間がたくさんおりまして、 彼らも心理カウンセラーですから、よーく話も聞いてくれました。 でも、「わかるよ」とか言われて、やさしく受容してくれでもすれば そこで「お前に何がわかるー!!」とか逆ギレですよ。 そして、そんな自分がさらにイヤになるという ダメな自分スパイラルにどんどんハマっていくんです。 みなさんも落ち込むこと、あると思うんですが こんなときはダラダラ落ち込んでると長引きます。 長引くとツラいですね。 はやく立ち直ろうと焦るから余計ツライ。 そこで逆に、自分が落ち込むシチュエーションを用意しておいて 一気にドーンと落ち込むんです。 気が済むまで落ち込んでる。 すると、「あ、もういいや」って、ふっきれます。 落ち込み続けてるのにも飽きるんですね。 だから、それ以上は続きません。 わたしの場合は、それが72時間くらいだったんですね。 山本文緒作品っていうのは、非常に不条理だったり、 これでもかってくらいドツボが用意されていたり、 かんたんにいえば、救いようのない話が多い。 それも、合理的かつ現実的です。 ほんとに手抜きがありません。 生意気いわせていただくと、 そのつくりこみ方、並みの小説家ではないと思います。 だから、ダメな自分スパイラルにハマっていくより高速で、 ストレートにドーンと落ち込むことができるんです。 こんな読みごたえたっぷりのフルボディな作品を紡ぎだし続けている 山本文緒さんがうつ病になったと知って わたしは、当然だと思いました。 それくらい、命を削ってる感じで作品を書いてたんじゃないでしょうか? でも、うつ病になったことで、とりあえず過労で死ななかった。 救われた部分もあるのではないかと思います。 インタビューでは闘病中の様子、ジレンマがそのままにうかがうことができます。 うつになったとき、その人はどうなるか、どう感じているのかを 繕わず、装わずに語っています。 ものすごく腑に落ちます。 「うつ」について知りたい方に全力でお薦めします。 |