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2013年11月29日(金) 

「大切なのは、私が持っているものであって、
 私が失ったものではない」

と、ブエノスアイレスで東京五輪招致のプレゼンテーションをした
佐藤真海選手が『日経ビジネスオンライン』のインタビュー記事で
バリアフリーについて厳しい発言しています。

 

「車いすだったら、日本に住みたくない」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/2013…20/256090/


介護では、QOL向上のためにも「残存機能の維持」がテーマになります。
しかし、記事中での佐藤選手の言葉
「ヨーロッパでは、車いすの人をよく見かけるんです。
 よく見るということは、動きやすいからなんだと思います。」のとおり、
日本では、介護生活になった人は出歩かないし、連れ出さない。
これでは、残存機能を維持するどころか
動かす気力を失い、機能もどんどん退行してしまう。

 

1日寝たままにしたときに筋肉低下は回復に1週間、
1週間寝たきりなら、回復には1か月かかる、というのが定説。
どんどん戻しにくくなってしまうから。

 

今、わたしたちがバリアフリーについて考えることは
もちろん、障害をもった人のためです。
ただし、それだけではありません

 

もしも、不幸な出来事が起きて、
「持っているものを失っても大丈夫
 残っているものでまだまだできるから大丈夫
と思えるような社会、地域だったら、
どんなにステキなことかと想像します。
残念ながら、大きな喪失感は避けられません
けれど、それを経て、安心感の中で希望が見いだせる
そんな世の中になったらいいなと思います。

 

いつ、わたしたちが介護を必要になったとしても
そんな安心感を感じて、自由に街歩きを楽しんだり
好きな活動することができる。
見知らぬ障害者のためでなく、
自分や家族のためだとしたら、
あるいは、車いすをバギーに変えたら、
バリアフリーはもっと身近なトピックになるのではないでしょうか。

 

バリアフリー化が進んでいるヨーロッパでも
それは急激に変化したのではなくゆっくりと浸透していったといいます。

 

ドイツでサッカーW杯が開催された2006年に
現地で、ドイツ人とちょっとそんな話をしたときのこと。

何度もくり返される
「slowly but surely...(ゆっくり、でも、しっかりと)」
というフレーズを聴きながら、
いかにも質実剛健なドイツ人らしいなあと思ったのを思い出します。
急がず、確実に。
決してたやすいことではなかったであろう現実感がじんじん伝わってきますが、
同時に、“slowly, but surely”という言葉のやさしい響きが心地よく、
ついつい会話が弾んで、ホームステイ先での朝食ディスカッションは
いつも長くなっていました。
シビアな話しながら、不思議と「目をつぶりたい現実」ではなかったのです。

この体験のあと、このフレーズは大のお気に入りになりました。

 

わたしたちの意識に「障害者が自由に活動できる社会」
「我がこと」としてとらえられるような変化が起きたら
その変化のプロセスも、それを経て生まれた社会も
ステキなことになるんじゃないかな、とわくわくしています。

 

東京オリンピックまでのあと7年を
“slowly but surely”
よりよい方向へ歩んでいきたいと思いました。


閲覧数1,480 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2013/11/29 15:43
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