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2012年07月31日(火) 

大阪地裁で、発達障害の一つ、アスペルガー症候群の
40代男性が起こした殺人事件への判決が出ました。

発達障害で求刑超え懲役20年判決 「社会秩序の維持に」

(産経新聞7/30)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120730/trl120…006-n1.htm
発達障害で求刑超えた判決
「国民感覚に沿った判決」「すぐに再犯に走るわけではない」
評価分かれる

(産経新聞7/31)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120730/trl120…007-n1.htm

 

●事件→裁判の流れ


「約30年間、自宅に引きこもっていた被告の自立を促した
  姉に恨みを募らせた」などと動機を認定。(読売新聞7/30)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120730-OYT…T01274.htm

事件直前に行政が病院への受診を勧めていたものの、
実現する前に事件が起きた。
http://mainichi.jp/select/news/20120731k0000m040067…000c2.html

検察側「懲役16年」
弁護側「保護観察付き執行猶予」の求めに対して
裁判員裁判によって下された判決は「懲役20年」
判決理由について河原俊也裁判長は

「計画的で執拗(しつよう)かつ残酷な犯行。
  アスペルガー症候群の影響は量刑上、大きく考慮すべきではない」
「家族が同居を望んでいないため障害に対応できる受け皿が社会になく、
  再犯の恐れが強く心配される。許される限り長期間、
  刑務所に収容することが社会秩序の維持に資する」

と述べ、「殺人罪の有期刑上限が相当」とした。


●判決をめぐる議論

土本武司筑波大名誉教授(刑事法/元検事)
「責任能力に問題がない以上、刑罰を決めるにあたって
  最も重要な点は社会秩序の維持だ」
「検察側の求刑が軽すぎた。
  裁判員の判断の方が常識にかなっている。
  裁判員裁判を導入した成果といえるだろう」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120730/trl120…007-n1.htm

日本発達障害ネットワーク・市川宏伸理事長
「発達障害があるから犯罪を起こすわけではない。
  アスペルガー症候群の人の多くは、社会生活を営めており、
  独特な考え方や行動様式を周囲が理解し社会のルールを説明していれば、
  今回のような事件は起きなかった」
「今回の判決のように、障害を理由に社会復帰させないのは、
  差別と偏見でしかない」
http://mainichi.jp/select/news/20120731k0000m040067…000c3.html

六甲カウンセリング研究所・井上敏明所長(臨床心理学)
「アスペルガー症候群だからといって、
  すぐに再犯に走るわけではない。
  発達障害には家族など周囲の理解が必要だ。
  単に刑務所に長期収容するだけでは何の解決にもならない」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120730/trl120…007-n1.htm


●一人の人間として……(わたしの考え)

事件が起きた背景と殺人理由は違います。
アスペルガー症候群は
被告がうまく社会生活を営めなかった理由であって
アスペルガー症候群がキレやすく暴力的で、
人を傷つけるのではありません。
ただし、
「病気だから、自分はおかしい」
「病気だから、おかしくてもしょうがない」
と、病気に逃げ込んで(退行)、
隠れ蓑にすることがあります(疾病利得)。

「病気(障害)のせい」で
刑が軽くなったり、執行猶予になるとしたら(利得がある)、
現在、実社会で病気や障害の症状・問題・不都合な面と向き合って
「うまくいくようになりたい」
「よくなりたい」と日々努力されている方々はどうなるのでしょう?
このような、わたしたちがサポートしている方々にとっては
「病気や障害のヤツはおかしい」という
差別や偏見、それらと戦う苦悩のほうが大きな問題であり、
個人の努力をズタズタにするものです。

そういう意味で「社会秩序の維持に資する」とした判決を
わたし個人は支持します。
被告には病気(障害)の前に、一人の人間として
罪と向き合い、刑を償っていただきたいとわたしは考えています。


【参考リンク】
発達障害の4歳長男を殺害した母親…夫の苦悩(産経新聞2012.1.21)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120121/trl120…000-n1.htm

「サラ金妻」「精神薬」「大震災」…
信号無視して逆ギレ、息子の前で高齢者を死なせた父親の釈明は(産経新聞2012.7.28)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120728-00000565-san-soci
→判決は懲役4年
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120731-OYT…T00547.htm

「同情できる点がある」から
「問題をなかったことにする」のは
いい結果にならないように思います。

増える大人の発達障害 仕事に支障、ひきこもりも(産経新聞2012.1.10)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/541430/

“薬漬け”になりたくない~向精神薬をのむ子ども~(NHK「クローズアップ現代」2012.6.13)
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3213_all.html

児童施設と向精神薬(1)親への愛 薬で抑制(読売新聞「佐藤記者の『精神医療ルネサンス』」2012.4.9)

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=57110&from=popin

「発達障害」という言葉は一般的になりつつありますが
個人でできることには限界があり
また、問題も多く抱えています。
理解し、受け入れ、よりよい生き方を探すには
相互支援できる団体は強い味方になります。

●発達障害の子ども・大人・親を支援する団体

NPO法人あではで神奈川
http://www.adehade.net/index.html

自助グループ「イイトコサガシ」
http://iitoko-sagashi.blogspot.jp/


閲覧数2,796 カテゴリニュース コメント0 投稿日時2012/07/31 14:51
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