入学、進学、就職、結婚、出産、独立、引っ越し……。
この春、新生活をスタートするみなさまの
新しい舞台でのご活躍をお祈りします。
この変化が人生の実りのチャンスとなりますように。
わたしたちの心は、案外、丈夫にできています。
変化に対して、耐性をもっていますし、
無意識は、ショックを上手に受け止める
自前の構えを持っていて
わたしたちのことを守ってくれています。
ただし、無意識は「よい」「わるい」の区別ができません。
入学、進学、就職、結婚、出産、独立、栄転、昇進
といった、喜ばしい変化であっても
無意識は「ストレッサー(ストレスの原因)だ」と解釈します。
だから、変化に対して受け身の体制をとり、
徹底抗戦の構えに出ます。
これがフロイトの言う「防衛機制」です。
構えですから、いろいろな型の種類があります。
代表的なものを紹介しましょう。
●抑圧
いちばん有名な、代表的な型です。
発散できなかった気持ちや不愉快な出来事を
無意識にしまい込んで、
外からまるで見えない状態、
まるでなかったことにすることで
不安や不満を消して、自分が壊れるのを防いでいます。
言い換えれば、無意識は
外に出しておくと恥ずかしいものをパンパンにつめこんだ
押し入れのようなもの、と考えてください。
そのパンパンなところに、
布団圧縮袋かなんかでぎゅーっとかさをつぶして
さらに押し込めようとするのがこの型です。
これについては、あとでまたふれます。
●反動形成
バレたら困る自分の本心を見抜かれないように
本心とは逆の行動をして、カムフラージュしているのです。
代表例としては、ツンデレ。
好きな人に対して、「好き」という気持ちがバレないように
わざといじわるしたり、言動がきつくなったり。
見栄を張るとか、
「俺はえらいんだぞー」という空威張り、
「今日もノリノリ、絶好調だから」という空元気、
「お客様、さすがお目が高い!」というお世辞など
けっこうわかりやすいのがこの型の弱点です。
ただし、心底大っ嫌いな相手に敢えて親身にふるまうといった
かなり高度なこの型の使い手もいます。
●退行
解決できない難しい問題を前にしたときの逃げの型のひとつ。
より未発達な段階に逆戻りして
「できなくて当たり前ね」と相手にわかってもらい
対処する努力を放棄する試みです。
弟妹が生まれたときの長子の赤ちゃん返りが
代表例ですが、大人にもあります。
相手や現実を受け容れたくないとき
長時間エンエンと泣きつづける、
「こんなのいらない」とふてくされる、
あるいは、年齢に見合わないカワイイ服装、発言など
いわゆる子どもっぽい言動は
「わたしは保護の対象ですからいじめないでください、
むしろ、もっと甘やかしてください」
とアピールして責任放棄する、この型の典型です。
●昇華
認めてもらえないわかってもらえない欲求を、
別の方向の新しい目標に打ち込んで解消する型です。
「うーん。やめろって言われても、
そうカンタンに禁煙ってできないんだよね~。
いっそタバコ代は貯金して来年、家族旅行に行くか!
きっとみんな喜ぶだろうし。
よ~し、パパがんばるぞ」
型の中では「理想的」とも言われます。
この型はとにかく努力で
自分をより上へ、もっと高く、とめざすものです。
たとえば、失恋したショックと相手への未練を、
きれいになることで断ち切るという場合、
好ましい結果になる可能性も高い一方で
高額なコスメを購入して買い物依存に陥ったり、
美容整形をくり返したり、
理想が高すぎて、病的な状態を引き起こすリスクもあります。
●合理化
受け容れられない不都合な現実を
もっともらしい理由で正当化しようとする型です。
イソップ童話『すっぱい葡萄』で
高いところのブドウが食べようと何度もジャンプして失敗。
「フン、どうせすっぱいさ、食べなくてよかった!」
と諦めるキツネの負け惜しみが有名。
逆に、
「我が物と思えば軽し笠の雪」
自分の財産と思えば、傘に積もった雪の重さも気にならない
とプラスの発想で転換する使い手もいます。
自分を納得させる努力はときに悲惨です。
たとえば、DV被害者が周囲からどんなに言われても
加害者から逃げない場合
「殴られるのは私が悪いから。
こんな私を愛してくれる彼は立派な人」と
暴力を合理化し、正当化することがほとんどです。
●補償
劣等感や叶えられない願望を
「顔じゃ勝負にならないけど、
歌とダンスなら負けないわ!」という具合に
別の自分の得意な分野で穴埋めする型です。
劣等感を補うほどのがんばりで満足を得ようとする
成功すれば「江戸の仇を長崎で打つ」的な
昇華と同様にポジティブな型です。
ただし、たとえばシューズやウェアは揃えたがるが、
レッスンはまったくしないなど、
実際には能力がないのにあるふりをするとか
ネット上など架空の世界で「ダンスの達人」になりすます
といった半端な使い手の場合、
さらなる挫折感を招くことも少なくありません。
ほかにも、いろいろあります。(機会があれば紹介します)
こういったさまざま型をわたしたちは
そのときどきで選択しているのですが
それは、決してよい形で現れるわけではありません。
なにしろ無意識には「よい」「わるい」の区別がありませんから。
そして、すべての型は、最初の型「抑圧」に通じています。
叶えられない欲求が表面化するのを
さまざまな型で防いでいるのです。
この型を使っていると、どうなるのでしょうか?
(2)につづきます⇒http://sns.hamatch.jp/blog/blog.php?key=51799
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次回は4/1(火)です。