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2010年01月16日(土) 

「 自己統制 」 というのは、 「新版 S-M 社会生活能力検査 」 の以下の検査項目、

 

 { 1 身辺自立 (SH)  2 移動 (L)  3 作業 (O)  4 意志交換 (C) 

   5 集団参加 (S)  6 自己統制 (SD)

 

 の一つである。

  
「 我慢したり、自分をコントロールする力 」 である。

 

10年ぐらい前に指導した自閉症児に、

指示をしたり、待たせたり、動作の修正を指示したりすると、

口を三角にして、教師の顔をひっかく生徒がいた。

 

「 自閉症教育の7つのキーポイント アセスメント 」 から、

この生徒が、 「 教師の顔をひっかく 」 場面を拾っていくと、次のようになる。

 

 > ①自ら学習する態勢になる力 < 学習態勢 >

   2段階 「 起立や着席を一人で行ったり,大人と一緒に歩調を合わせて

        歩いたりすることができる 」

   2段階 「 背後,横,正面等からのガイドを受け入れることができる 」

 

 > ②自ら指示に応じる,指示を理解できる力 < 指示理解 >
   1段階 「 手招きや 「 こっちにおいで 」 など,人の働きかけ ( 指示 ) に

        応じることができる 」

   2段階 「 今の行動を修正し, 「 ~して 」 や 「 もう一度して 」 に応じること

        ができる 」

   3段階 「 指示に応じて ( その場で ) ,10秒以上,待つことができる 」

 

要するに、この生徒は、

これらの教師の指示は理解できるが、

( やってられるかよ。 ) と 教師の顔をひっかくのである。

 

「 自己統制 」 の力が限りなく、弱いのである。」 

 

加えて、 「 コミュニケーション 」 の未熟もある。

 

( やってられるかよ。 ) と穏やかに、相手に伝えられれば、いいのに、

「 教師の顔をひっかく 」 という間違ったコミュニケーションを

何年もの間に、学習してきてしまったわけだ。

 

困っているのは、 「 顔をひっかかれる教師 」 なのか? といえば、そうではない。

困っているのは、 この生徒自身である。

 

 それなりの理解力が、あるのに、 『 自己統制 』 の力がなくて、

 自分自身をコントロールできない。

 コミュニケーションも未熟だから、人に伝えることもできない。

 

アンバランスな自分自身の能力に振り回されていて、苦しい状況にあるからだ。 

 


閲覧数2,584 カテゴリ障がいと教育 投稿日時2010/01/16 17:06
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